ダニアレルギーとは
ダニアレルギーは、ダニの糞や死骸が原因となり、くしゃみや鼻水などのアレルギー症状を引き起こします。
これは、体内に入ったダニの糞や死骸を排除しようとする免疫機能が過剰に反応することで発症します。
生きているダニだけではなく、夏から秋にかけて大量に繁殖したダニの死骸や糞が粉々になり、空気中に浮遊することが原因となるため、花粉症とは異なり、季節性がないのが特徴です。
主な原因となるのはヤケヒョウダニとコナヒョウダニで、家庭内に広く生息しており、完全に駆除するのは困難です。
しかし、適切な予防策と早期の治療によって症状を軽減することが可能です。
ダニアレルギーの症状
ダニアレルギーの4大症状
ダニアレルギーによる代表的な症状には、以下のようなものがあります。

- くしゃみ
- 鼻水
- 鼻づまり
- 目のかゆみ
咳・喘息
ダニアレルギーは、咳や喘息を悪化させることがあります。
ダニの糞や死骸を吸い込むことで気管支が刺激され、咳が出やすくなります。
喘息のお子様は、気管支が狭くなり喘息発作を起こす可能性があります。
ダニは家庭内に広く生息しているため、完全に駆除することは困難ですが、こまめな掃除や寝具の洗濯などの対策を講じることで、アレルギー症状を軽減できます。できることから始めてみましょう。
皮膚の症状・湿疹
ダニアレルギーは鼻や喉だけでなく、皮膚にも症状が現れることがあります。
ダニの糞や死骸が皮膚に付着すると、かゆみ、赤み、湿疹などを引き起こします。
布団やカーペットなどに長時間触れていると、アトピー性皮膚炎に似た症状が現れることもあります。
特に、高温多湿の梅雨や夏にはダニが繁殖しやすく、皮膚症状が悪化しやすい傾向があります。
目の症状
ダニアレルギーでは、目や目の周りのかゆみ、充血などの症状が現れます。
目をこすると角膜を傷つけ、視力低下につながる場合もあるため、注意が必要です。
ダニアレルギーの
検査・診断方法
皮膚反応検査
(プリックテスト)
花粉症の診断にも用いられる皮膚反応検査は、ダニアレルギーの診断にも有用です。
皮膚反応検査は、少量のアレルゲンエキス(抗原液)を皮下に注射したり、皮膚に垂らして小さな傷をつけ、皮膚の反応を観察します。
抗原に対する抗体を持っている場合、かゆみや腫れなどの症状が現れます。
検査結果に影響するため、内服している薬がある場合は、事前にお伝えください。
血中特異的IgE抗体検査
血中特異的IgE抗体検査では、採血を行い、特定の抗原に対するIgE抗体の有無を調べます。
IgE抗体は、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が体内に入ってくると細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどの化学物質を放出させます。この化学物質により、体にさまざまなアレルギー症状が現われます。
特異的IgE抗体の測定により、アレルギーの原因を特定し、より適切な治療方法を決定できます。
ダニアレルギーに対する治療
抗アレルギー薬の服用
抗アレルギー薬は、咳、くしゃみ、目のかゆみなどのアレルギー症状を抑える薬です。
内服薬の他、点眼薬や点鼻薬もあります。
薬の種類によっては副作用のリスクがあるため、当院ではお子様に合った薬を処方いたします。
ダニアレルギーの対策方法
ダニアレルギーの対策方法として最も有効なのは、「アレルゲンを取り除く」ことです。
予防対策として、まずは次の方法を試してみましょう。
お部屋の環境を整備する
ダニの温床となるカーペット、布製ソファ、クッション、ぬいぐるみなどは、できる限り減らし、フローリングにするのが理想的です。
エアコンのフィルター掃除でカビや埃を取り除いたり、定期的な換気で湿度を下げましょう。
布団の手入れをする
布団はダニの温床になりやすいため、こまめな掃除が重要です。
天日干しや布団乾燥機を活用し、ダニの繁殖を抑えましょう。
また、1~2週間に1度は掃除機をかけ、シーツやカバー、ぬいぐるみなどもこまめに洗濯してください。
ダニを通さない高密度繊維のカバーを使用するのも効果的です。
掃除機でハウスダストを
なくす
ダニアレルゲンを減らすため、こまめな掃除機がけを心がけましょう。
畳の場合は目に沿って掃除し、布製の家具(椅子やソファ)も丁寧に掃除することが大切です。
よくあるご質問
ダニが多い季節はいつですか?
9月~10月は、夏に繁殖したダニの糞や死骸がアレルゲンとなり、室内のダニアレルゲン量が最も多くなる時期です。
ダニアレルギーになるのは、部屋が汚いからですか?
ダニアレルギーの発症は、部屋の清潔さとは必ずしも関係ありません。
ダニは湿気を好むため、環境の工夫と発生しやすい物の排除が重要です。
布製ソファ、カーペット、ぬいぐるみなどはダニの温床になりやすいため、フローリングの床、ナイロンや革製のソファの使用、ぬいぐるみの削減などを検討しましょう。
また、観葉植物もダニの温床となる可能性があるため、ベランダなど屋外に置くことをお勧めします。
部屋にダニがいるかどうか、確かめる方法はありますか?
ダニは様々な健康被害をもたらします。
その存在を確認したい場合は、まずマットレスや布団をめくり、白い粉(ダニの死骸)を探してみましょう。ただし、ダニは非常に小さいため、目視での確認は難しいです。
より正確に確認したい場合は、市販の検査キットを使用する方法があります。
誘引剤でダニをおびき寄せて確認する方法や、採取したハウスダストを郵送してダニアレルゲンの有無を調べる方法があります。